【講演概要】

言語の記録は、何を記録しているのか

豊島 正之 (東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)



過去の文献・音源を「言語の記録」として研究資料とする事は、 それが或る言語規範に従い、「記録」はその言語規範の資料であると前提する事である。 しかし、その言語規範は本当に「記録」対象の言語に存在したのか、 言語の記録は実は何を「記録」しているかという問題に答える機会は、比較的少ない。 1900年の日本語の記録である Edwards の実験音声学論文とパリ万博での日本語録音 (現存最古)との対比、 1600年代の日本語に就てのロドリゲス日本文典の音声記述と彼の出身地方の現在の方言の対比等、 GICAS (「アジア書字コーパスに基づく文字情報学の創成」COE拠点、 http://www.gicas.jp/ )の研究中に遭遇した例に基づいて、 「言語の記録」の資料としての扱いに就て述べる。