武田 稔也, 小保方 幸次, 東条 敏 (北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科)
本研究では各エージェントの持つPCFGの文法規則の木構造に確率を与え、こ れをエージェント間での発話、認識という経験的学習によりチューニングし 共通言語を自己組織化ことを目標とする。マルチエージェント環境での相互 学習では学習が局所的なループに陥る危険性があるため、本研究では負事例 の文を設定し、正事例と負事例の文の入力から負事例を排除するような確率 を学習することとする。この研究は言語学的な正当性に基づくものである と同時に、異なるプロトコルを持つ人工エージェント同士が柔軟に新たなプ ロトコルを自己組織化する複雑系のシミュレーションの側面を持つ。実装 には, これまでの同様な研究とは異なり多数のプロセッサを用い、各々のプ ロセッサに各エージェントを割り当てた分散環境でのモデル化を行う。そし て、マルチエージェントモデルの研究における実験上のシステムの提案を行 う。この結果、各エージェントは、割り当てられたプロセッサの処理速 度に依存した発話を行うため、話数に個体差が出現し、現実社会の言語現 象を反映したモデルを実現できた。