緒方 典裕 (大阪大学 言語文化部)
Lakoff、Langacker らを中心に従来の意味論(いわゆるMontague 的「形式意味論」 (以後、「形式意味論」と表すことにする)も含む)に対するアンチテーゼとして、 認知的側面に焦点を当てた意味論(以後、認知意味論と呼ぶことにする) が提案・発展させられている。しかし、それでもなお「形式意味論」やプログラミ ング言語の形式意味論など情報科学的な「意味」のアプローチとの共通点や、 特に語彙の意味内容の記述の点で、情報科学的アプローチを補完する点がある。
本研究では行う。
- Lakoff や特に Langackerで発展させられている認知的な意味のとらえ方の形式的側面、計算的側面を明らかにし、
- Montague 以来の形式的・計算的意味のモデル (状況意味論, 談話表示理論, イベント構造意味論、生成的レキシコン, チャネル理論, ベクトル空間意味論, 他) の意味に対する潜在的・明示的な認知的側面、非認知的側面を明らかにし、
- これらの結果からの、認知的側面を取り入れた語彙の意味内容の形式的・計算的モデルの提案に向けてのいくつかの試論の提出を