小方 孝 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)
本研究の背景を成すポストナラトロジー及び物語生成のポストナラトロジーの構想は、 その一目標として物語生成システムを使った物語乃至小説の制作を置く。 この物語乃至小説は、共同幻想・対幻想・個人幻想にわたる広範な事象や人物を扱い、 拡大小説、私・物語等の用語で読んで構想の具体化を進めている。本稿ではまず、 ポストナラトロジー及び物語生成のポストナラトロジーに関して、 二つの理論的基盤であるナラトロジー (及びその展開であるポストクラシカルナラトロジー) と人工知能・認知科学領域における物語生成システムそれぞれの最新動向、 拡大小説や私・物語における物語内容について述べた後、 それらにおける物語の内容・主題の重要な一つを成すものとして捉えられる 「戦争」について検討する。具体的には、2014年から始まり 2022年2月24日のロシアによる侵略行為からその規模をさらに拡大して今日に至るロシア・ウクライナ戦争を題材に取り上げ、 戦争そのもの及び関連する情報の調査・分析を行う。またその中の一主題として、 現在日本の言論空間において一定の影響力を持つと思われる 「橋下徹」という実在人物を、 拡大小説、私・物語における登場人物の一タイプとしての造形を目的として取り上げ、 ウクライナにおける戦争をテーマとするTwitter記事の分析に基づく生成システム物語ロボット「世界司令官・ハシモト君」を試作する。キーワード: 物語生成システム (Narrative Generation System)、ポストナラトロジー (Post-narratology)、物語生成のポストナラトロジー (The Post-Narratology of Narrative Generation)、ロシア・ウクライナ戦争 (Russian-Ukraine War)、橋下徹 (HASHIMOTO Toru)