【講演概要】

機能和声概念に基づく物語構造記述

小田 淳一 (東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)



機能和声は,諸和音の性質に特定の機能を付与することによって和声進行の法則を記述するものである。 また機能自体は,調性=音組織体系を構成する個々の音の組み合わせによって発現する。 このことから機能和声は,述辞や主辞等によって構成されるプロップの <<機能>>及び物語構造の機能連鎖モデルと直接的に比較され得る。 本報告は,中世詩人の創作行為を,限定された語要素レパートリーからの選択であるとして鍵盤和声に譬えた P.ズムトールの分析を拡大し,物語構造を機能和声概念によって記述することを試みる。