中野 阿佐子
メタファーは単なることばの彩ではなく、 人間の認知機構の本質をなしているというのはLakoff and Johnson (1980)の眼目である。 メタファーに対するそのような立場はその後、 認知メタファー理論(Cognitive metaphor theory: CMT)と呼ばれるようになった。 近年ではメタファー特定の手順を明示化しようとする試み (Fass 1991, Mason 2004, Berber 2006など)が盛んになりつつある。 本研究では、その中でも特に注目を浴びるMIP (Pragglejaz Group 2007)と、 その流れをくむMIPVU (Steen et al. 2010)に着目し、 言語学におけるメタファー特定に関する研究の現状を概観し、 それぞれの手法の特徴を示すとともに、その意義を確認し、 さらなる発展に向けた今後の課題について議論する。