鍋島 弘治朗 (関西大学 文学部)
認知言語学におけるメタファー理論 (Cognitive metaphor theory: CMT)では、 メタファーを領域間の写像と定義する (Lakoff 1993など)。 この領域の類例として、認知言語学では、フレーム、理想認知化モデル (ICM)があり (Clausner and Croft 1999)、 特に多分野で知られている概念としてフレームは重要である。 一方、1970年代に提唱されたフレームにはスキーマ、 スクリプトという類似概念があり、それぞれの論者が 「名称は違うが、内容は大枠同じ」ことを公表している (Rumelhart, McClelland and the PDP research Group 1986:9; Schank and Abelson 1977:10)。 本発表では、これら知識構造の概念を整理した鍋島 (校正中)より、 フレーム、スキーマ、スクリプトを取り上げ、 カントの図式から始まるこれらの諸概念を整理し、 整合性を見出す。さらに、その神経的基盤を論じるとともに、 現実認識がこれら「フレーム系」 の知識構造にいかに支配されているか、 「フレーム」がメタファーにどのように利用されるかを例示する。