【講演概要】

話題構造の可視化による医師-患者コミュニケーション支援手法

○神山 祐一、平野 靖、梶田 将司、間瀬 健二、勝山 貴美子、山内 一信
(名古屋大学情報科学研究科)



医療領域ではナラティブ・ベイスト・メディスン(NBM、物語りと対話に基づく医療) という方法論が提唱されている。患者の人間性を尊重した効果的な医療を行うためには、 医学的、科学的根拠を重視しながらも、 患者が語る病いの体験としての物語りを共感的に聴き、診断、 治療に結びつけていくことが必要とされる。本研究では、 医療面接の意味的な構造として話題の時間的構造と概念的構造を可視化し、 人手による対話分析では見落とされがちな医師-患者間の相互作用や、 患者の物語り全体に気づきを与えることにより、 面接を行った医師自身の内省を促す手法を提案する。また、 話題構造を読み取る際の共通基盤となるモデルとして、 人手による対話分析で得られた知見である一般診療における NBMの実践のプロセスを利用する。文献中の面接例と、 実際の臨床現場において収集した対話データ(頭痛の専門外来、29件の面接) に対して分析を行い、 良好な面接において可視化された話題構造に上記のプロセスが現れること、 プロセスとの比較により医師の戦略や面接の問題点を面接中の文脈に位置づけて解釈できることを確認した。