岩垣 守彦 (前・玉川大学)
「物語」を「事象列」ととらえればコンピュータによって「物語」 を作ることは可能である.そのための試案も数多く案出されている. しかし,「これは文学だと読者に評価される物語」を作ることは視野に入っていないように思われる.
コンピュータに文学を扱わせるためには,まず「読者が何を文学ととらえるか」 を論理的に計算的に処理できるようにとらえ直さなければならない.言い換えると, 「文学」を「計算できる部分」と「計算できない部分」とに分け, 更に「計算できない部分」と思われているところを「計算できる」ようにしなければならない.
これまで「計算できる部分」をどのように論理化するか, また「計算できない部分」を「論理化」する視点と方法を探求してきた. その視点と方法によって「有機的総合体」として宇宙に浮遊していると思われる作品を読み解くとどうなるか検討したい.