岩垣 守彦
パルテノン神殿を見て人は美しいと感じる. ある人がその底に黄金分割という線分比を見いだした. ヴィーナス像を見て人が美しいと感じる. ある人が八頭身という線分比を見いだした.これらは人が感じる 「直接的な造形の美」の原理を数値化したものであるが, 「言語による美の表現」の底にある「聴覚・視覚符牒の美」 の原理を数値化できるであろうか.たとえば,日本語は2音と3音が基本で, これを組み合わせた5音と7音の聴覚符牒を人は美しいと感じる. しかし,聴覚符牒が与えるのは「直接的画像」ではなく「想像画像」である. 「聴覚符牒」をどの視点で「分類(categorization)」して,どのように 「組み合わせ(combination)」をすると「美しい想像画像(images)」 を喚起することができるか.また,それを数値化することができるであろうか. 「言語というシステムによる美の表現の仕組み」を「聴覚・視覚符牒の運用」から考えてみる.