【講演概要】

日本英語教育政策の聴覚誘発脳磁図反応における反映

○原田 暢善1、岩木 直1、 外池 光雄2
1: 産業技術総合研究所関西研究センター 人間福祉医工学部門
2: 千葉大学工学部メディカルシステム工学科



英語単語を主観的判断指標である単語親密度において4段階に分け、さらに、 高親密 度ではあるが低頻度、すなわち、 活字として印刷される機会の少ない単語の合計5条件の単語群を、 音声刺激として日本語母国語の被験者に提示し、聴覚誘発脳磁図反応を計測した。 単語親密度と頻度は、ほぼ相関関係、特に中から低親密度領域においては、 良好な相関が見られるが、高親密度領域に置いては、頻度が大きくばらついており、 高親密度・高頻度と高親密度・低頻度に分かれうる傾向がある。本研究は、 英語単語における親密度と頻度が、英語が第二外国語としての学習者である日本人において、 どのように反映されるかについて検討を行った。左半球、 一次聴覚野近傍のチャンネルにおいて、 N100m成分とそれに続くサステインドフィールドが確認された。 サステインドフィールドのピーク強度および潜時は、 親密度の増加にともない減少する傾向が確認された。一方、高親密度・低頻度の単語の反応は、 高親密度であるにも関われず、ピーク強度および潜時は、増大する傾向が確認された。 この結果は、日本人における英語学習が、テキストベースの情報媒体により行われており、 結果として、テキストになりにくい高親密度・低頻度の単語が、テキストとして反映されず、 結果として、低親密度単語として反応したと考えられた。