【講演概要】

文処理の脳内メカニズムにおける普遍性と言語個別性

萩原 裕子
首都大学東京 都市教養学部



私たちが文章を読んでいる時、脳の中では何が起こっているのでしょうか。 目から入った文字情報はまず単語として認識された後、 文の構造に照らしてそれぞれが意味役割を与えられ、 最後は命題としての意味を持つ文章となります。 そこでは統語や意味という言語内要因だけではなく、記憶や情報の統合、 注意やモニタリングといった言語外要因も深く関わります。 文章を理解する時には語順の違いによってこれらの要因が関わるタイミングが異なります。 いつ、何が、脳のどこで、どのように処理されるのかは、 言語に共通した部分と言語によって異なる場合があります。本講演では、 多チャンネル脳波と脳磁場を用いた研究を中心に、 近年明らかになってきた文処理の脳内メカニズムについてその研究の現状と今後の展開について分かりやすく解説します。