【講演概要】

学習困難とストーリー生成 ―精神医学の視点から―

青木 慎一郎 (岩手県立大学)



本報告では、論文作成を中心とした学習に困難感のある大学生を支援するという立場から、 「ストーリー生成」をテーマにさらに検討する。
学習困難については、要約すると「ストーリー生成の困難」とも言える状態といえる。 それは、近年の記憶研究 やワーキングメモリー研究における知見によっても支持される。 日本認知科学会第34回大会「OS18: 「脳 /心理」‐「記号/文芸」‐「社会/制度」をつなぐ物語生成」 においては、「ストーリー生成」そのものについての議論を深めることができた。
さらに「ストーリー生成の困難」について、精神医学の視点からの支援について検討した。 その場合、課題とし ては「ストーリー生成の困難」について、他者から見た 「ストーリー」としての理解を深めることが求められる。 この点について考察した結果、「ストーリー生成の困難」 について次のような仮説がたてられる。
プロットをストーリーの中の筋立て、そして「出来事」 を繋げる原因と結果の連鎖と考える。すると、「ストーリー生成の困難」とは、 「ストーリー」全体への過敏、あるいは逆に「切断」「転換」 (金井)、 ギャップ (小野・小方) 等への過敏によってプロットを作りだすことが妨害されてしまうことから生じる。 これが「ストーリー生成の困難」と考えられる。