物語内容は、生起した出来事の時系列的連鎖とされる。 受け手の観点からすればそれは受容の過程を追って心的に構成されたものであり、 作り手の観点からすれば制作の前提として措定されるものである。研究中の物語生成システムにおいて、 物語内容を階層化された単一の情報構造における出来事連鎖とみなしてきたが、 これは既に特定の観点からの構成が加えられた情報となっている。ここでは、物語内容をより基本的はもの、 そこから様々な出来事連鎖が発生するような情報の構造として組み立て直すための基本的考察を試みる。 一本の出来事連鎖が狭義の物語内容に当るとすれば、ここで検討するものは広義の物語内容に当る。