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阿部 明典


概要

仮説推論は不完全な知識を扱うことの出来る論理的推論体系で、 多様さ・複雑さを有する設計問題、診断問題など様々なことに適用可能である。 しかし、仮説推論を始めとする abduction の推論速度は仮説生成に於ける backtracking 等により、NP-completeであると証明されている。 従って、それを高速化しようとすると、推論速度の遅さの原因の一つとなって いる backtrackingをなるべく回避できる可 能性のある並行推論、並列推論にしてみようという考えは自然であり、 これまで、top-down、bottom-up の様々なアプローチが なされてきており、逐次処理を普通にした場合と比 較して推論速度の向上を果たしている。 更に、一般に、abduction では仮説選定の際に、 単純に最小の仮説が最高であるというOccam's Razor (当然、仮説間の consistency は保たれている)、更には、最高の説明を求める (explanatory coverage, explanatory belief, explanatory parsimony)という criterion を用いるが、abduction を並列化することで、 abduction に``最高の説明を求める''という性格ではなく、 ``信頼性の高い説明を求める''という性格を与えようという考えもある\cite{Goel95}。 特に、後者は、仮説生成の高速化と精密性をある程度兼ね備えた考え方である と思われる。 このように、abduction を並行、並列化すると様々なメリットがあるので abduction の並行、並列化は重要な課題となっている。 しかし、abduction を top-down に行なうにしても、bottom-up に行なうにしても 並行、並列につきものの問題点はいくつかある。
Abduction に於いて、様々な意味で並行、並列推論は hot な話題であるが、 並列、並行を扱うことの出来る可能性のある multi-agent 系に於いては、近年、多様さ・複雑さへの問題意識の高 まりとともに、 agent と環境の多様な変動も、もはや無視できない極めて重要 な研究課題となってきている。 さて、未来の予想が難しい環境の変動を表わすモデルとして確率モデルは理論 の基盤が確立しており様々に実用化されてきているし、abduction と等価に使 うことが出来るということで、Poole 等はBayesian net の枠組で abduction を実行する研究を行なってきている。
他方、経済学、数学の世界では Game theory により、株価予測、経済予測な ど、未来の予想が難しい環境の変動の予測を行なってきた。 そして、最近、 Penncock と Wellman は、市場モデル(Game theory)を用いることによ り、multi-agent系で Beyesian network を扱うことが出来るようになり、 ``distributed reasoning under uncertainty''を行なうことが出来ると示し た [Penncock 1996]。 本ページでは、これらの考えをふまえ、 abduction の並行、並列化を最終目標に据え、 確率モデルを市場モデル(Game theory)を用いることにより multi-agent 化することで、multi-agent abduction の枠組を作り、 その枠組みの広さやメリットと、問題などを議論する。


References:

  1. 阿部 明典: Bayesian network + Game theory -> Multi-Agent (Concurrent or Parallel) Abduction??, MACC97 (1997)
  2. Abe A. and Fujimoto K.: Multi-agentized Reasoning as Reasoning with Incomplete Knowledge base, MACC99 (1999)