阿部 明典


旧来より広告等では、 多分に感覚的 / 感性的な側面が意味を持って利用されてきた。 このようなことばの感覚的、感性的側面をコンピュータで扱うことは大変重要なことで、 インタフェースなどの世界では、マルチモーダルという名のもとに、 画像などの観点から様々な研究がなされていると思われる。 しかし、言語処理の世界では、余り感性を前面に出した研究はなされていないように思える。 海外などでは、computational humour の研究もなされているが、日本では、少し前までは恐らく、 異端に近かったのではないかと思われる。 我々は、ことばの意味や感覚 / 感性 といった側面を扱うことは重要であると考え、 ことば工学という研究分野を提案した。 本研究では、 「ことば」を中心として科学/工学から文学/芸術に亙る広い範囲の学際的な観点から従来の言語処理とは一味違ったことばの処理を行なう。
現在までに、我々は、概念ベースを武器にして、計算機による連想しりとりの生成、 クロスワードの自動解答、駄洒落生成、キャッチコピーの生成支援などを研究してきたが、 次のターゲットとして、文学``的''作品の自動生成をを考えている。
尚、個人的には、 「言語と身体性」、「``ことば''のデザイン」に特に興味を持っている。

駄洒落生成の例 (B級機関)

なぞなぞ解答生成の例

キャッチコピーの生成支援の例

例えば、この中から、``旅'' を keyword として選ぶ。. そして、観点として、 ``水辺''(特に、意味があって選択されているわけではない)などをいれてみる。 すると、以下のようなキャッチが得られる。

Pattern 1

Pattern 2

References:

  1. 松澤 和光, 阿部 明典, 金杉 友子, 永森 千晴: 概念ベースを用いたネットワーク型「言葉遊び」の提案, 第3回言語処理学会 年次大会, E5-4, pp. 577--580 (1997)
  2. 松澤 和光, 阿部 明典, 笠原 要, 金杉 友子: 「ネットワーク型言葉遊び」のコンテスト結果に関する考察, 第55回情 処全大, vol. 2, 2R4, pp. 224--225 (1997)
  3. 金杉 友子, 笠原 要, 阿部 明典, 湯川 高志, 松澤 和光: 「ネットワーク型言葉遊び」の知識獲得への応用, 第55回情処全大, vol. 2, 2R5, pp. 226--227 (1997)
  4. 松澤 和光, 金杉 友子 and 阿部 明典: コンピュータ上の言語感覚実現に向けて: B級機関, 人工知能学会全国大会, 37-11, pp. 685--686 (1998)
  5. 阿部 明典: ことば工学に就いて --- Yet Another Language Treatment.... ---, presented in WAL99 (1999)
  6. 阿部 明典: ことば工学の地平線 --- ``あとがき''に かえて... ---, 人工知能学会研究会資料, SIG-LSE-9901-12 (1999)
  7. 阿部 明典: 広告などにおける感性つきことばの概念ベースによる生成の可能性, 第59回情処全大, vol. 2, 5N-04, pp. 397--398 (1999)
  8. 松澤 和光, 堀 浩一, 金杉 友子, 阿部 明典: ことば工学入門, 人工知能学会誌, Vol. 15, No.3, pp. 446--455 (2000)
  9. 須永 剛司, 松浦 寿輝, 松澤 和光, 堀 浩一, 阿部 明典: 座談会: ことば工学のススメ --- 計算機はアーティストになれるか?, 人工知能学会誌, Vol. 15, No.3, pa. 456--447 (2000)
  10. 松澤 和光, 阿部 明典: 結構イケる電脳ダジャレ, 人工知能学会研究会資料, SIG-LSE-A003-5-5, pp. 19 (2001)
  11. 阿部 明典: 論理と文学, 人工知能学会研究会資料, SIG-LSE-A102-13, pp. 73--78 (2001)
  12. 阿部 明典: ことば工学: 過去、現在、未来, 人工知能学会研究会資料, SIG-LSE-A103-9-2, pp. 41--43 (2002)
  13. Akinori Abe: Computational Generation of Affective Phrase, Proc. of SCI2002, Vol. XVI, pp. 261--266 (2002)
  14. 阿部 明典: ことばの感性とは?, 人工知能学会研究会資料, SIG-LSE-A302-1, pp. 1--8 (2003)
  15. Akinori Abe: Language Sense, Proc. of PRICAI2004 Workshop on Language Sense on Computer, pp. 1--9 (2004)
  16. 阿部 明典, 小暮 潔: 看護 Ontology 構築に向けて --- 看護辞書の解析, 人工知能学会研究会資料, SIG-LSE-A402-1, pp. 1--8 (2004)
  17. 阿部 明典: 第20回ことば工学研究会によせて, 人工知能学会研究会資料, SIG-LSE-A501-1, pp. 1--2 (2004)
  18. 阿部 明典: コンピュータと感性 (I), 人工知能学会研究会資料, SIG-LSE-A501-10-3, pp. 71--74 (2004)
  19. 小方 孝, 青柳 悦子, 阿部 明典, 岩垣 守彦, 金井 明人, 鍋島 弘治朗, 森田 均: 情報と物語・文学を巡る共同討議 (2):〜でないものとしての物語生成, 情報処理学会 人文科学とコンピュータ研究会資料, 2005-CH-67, pp. 23--30 (2005)
  20. 阿部 明典: コンピュータと感性 (III), 人工知能学会研究 会資料, SIG-LSE-A502-5-2, pp. 33--36 (2005)
  21. 阿部 明典: コンピュータ文学 VS 人間文学 --- コンピュータの創造性 ---, 人工知能学会研究会資料, SIG-LSE-A701-4-3, pp. 39--40 (2007)
  22. 阿部 明典: 感性をもって活動するロボット ---2050年の予測, 日本総合研究所, 日本ロボット学会, 人工知能学会, 日本人間工学会編: 経済産業省 平成18年技術戦略マップローリング事業 ロボット分野に関するアカデミックロードマップ 報告書,pp. I-30--I-43 (2007)
  23. 阿部 明典: 特集「修辞の認知科学」に対して, 認知科学, Vol. 14, No. 4, pp. 562--565 (2007)
  24. 阿部 明典: ことば工学, 第22回人工知能学会全国大会, 3M3-2 (2008)
  25. 阿部 明典: 実は、作品は観賞者が創る? 介在者が創る????, 人工知能学会研究会資料, SIG-LSE-A801-11-6, pp. 121--128 (2008)
  26. 阿部 明典: ことばのデザイン, 人工知能学会研究会資料, SIG-LSE-A802-7, pp. 47--54 (2008)
  27. 阿部 明典: 駄洒落は面白くないか?? 面白いか??, 人工知能学会研究会資料, SIG-LSE-A901-4, pp. 27--36 (2009)
  28. 阿部 明典: 小説の生成に就いて, 人工知能学会研究会資料, SIG-LSE-A903-16-8, pp. 129--134 (2010)
  29. 阿部 明典: 小説の作家像, 人工知能学会研究会資料, SIG-LSE-B002-4, pp. 23--32 (2010)
  30. 阿部 明典, 片岡 邦好、鍋島 弘治朗: 特集: 主観性とパースペクティブ にあたって, 人工知能学会誌, Vol. 26, No. 4, pp. 313--316 (2011)
  31. 阿部 明典: ことば工学とは?, 日本知能情報ファジィ学会誌, Vol. 23, No. 5, pp. 666--675 (2011)
  32. 阿部 明典: 世界をつなぐことば工学の過去〜現在, 人工知能学会研究会資料, SIG-LSE-B201-5, pp. 31--38 (2012)
  33. 阿部 明典: 一度限りの? ことばの響き, 人工知能学会誌, Vol. 28, No. 5, pp. 713--719 (2013)
  34. 阿部 明典: ことばを創造する知 ---一度限りの感性---, in 一人称研究のすすめ (諏訪 正樹、堀 浩一 編), pp. 85--104 近代科学社 (2015)
  35. 阿部 明典: 彼の信奉者により裸にされた「前衛」としての書きことば、さえも, 日本認知科学会第32回大会, OS11-2, pp. 962--971 (2015)
  36. 秦野 智博, 阿部 明典: 利用者の評価基準に合致した作品評価、推薦システムの構築 , SIG-LSE-B503-4, pp. 23--26 (2016)
  37. 有賀 三夏, 村山 眞理, 秋山 ゆかり, 戸田 博人, 阿部 明典, 原田 康也, 阪井 和男: 芸術思考とデザイン思考, 電子情報通信学会技報, Vol. , No. , TL2015-64, pp. 53--58 (2016)
  38. 阿部 明典: 文化創造学としてのことば工学, 電子情報通信学会誌, Vol. 99, No. 4, pp. 318--326 (2016)
  39. 阿部 明典: 味覚の表現, 2016年度 人工知能学会全国大会 (第30回), 3M3-OS-20a-1 (2016)
  40. 秦野 智博, 阿部 明典:利用者の評価基準に合致した文章推薦システムの構築 感想データベースを応用した作品評価フォーマットの構築についての検討, 2016年度 人工知能学会全国大会 (第30回), 4J1-5 (2016)
  41. 阿部 明典, 長井 健一, 福部 明浩: 人工知能が広告を変える, BRAIN, Vol. 671, pp. 84--93, 宣伝会議 (2016)
  42. Akinori Abe and Moe Hayashi: On communication via bots for the computational therapy, Proc. of Int'l Workshop on Language Sense on Computer in IJCAI2016, pp. 61--66 (2016)
  43. Hayashi Y. and Abe A.: Conversation Method Compared with Reminiscence, Proc. of Int'l Workshop on Language Sense on Computer in IJCAI2016, pp. 25--28 (2016)
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